登山初心者が捧げる富士山の登り方 ファイナル
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富士山の話の続きです。
今回がラスト。
~~前回までのあらすじ~~
山頂で飲むコーヒーが美味い。
帰るの嫌だ。
~~あらすじ終わり~~
山頂でしばらくボーッとした僕達は、ついに富士山から降りることにした。 もう完全にエンディングの気分だよね。中島みゆきの地上の星が心のBGMで流れてたからね。
でも映画でよくあるじゃない?エンドロールの後にまだちょっと話が続くやつ。 今回は完全にそれだった。それもちょっと話が続くんじゃなくて、実は続編があるんだぜ?的なやつ。
そう、地獄の始まりです。
ゴールが全然見えない。幻術かな?
写真では分かりづらいですが、本当に永遠に道が続いてるのです。 でも降りるしかない・・・。
僕達は重い足を一歩ずつ前に出し、小石に足を取られながらも一歩ずつ確実に進んでいった。
後から知ったのですが、富士山って実は帰りのこの道が一番しんどいらしいのです。 道自体は砂利道のカーブが続くだけなので、キツくはないのですが、こちらはもうラスボスを倒した後なのです。
考えてみてください。 ラスボスを倒すためなら、今まで使わないで取っておいたアイテムとか全部使おうとしますよね。 世界樹の葉とかもうバンバン使うよ。ラストエリクサーとかも全然使わなくていい場面で念のため使っちゃいますよね。 挙句の果てに強い魔法とかもバンバン使いまくってMPすっからかんですよ。
そんな感じでラスボスは倒してこっちはガッツポーズをするけど、ラスボスは不敵な笑みを浮かべながら第二形態に変身するんだよ。 僕達は今そんな状況。必死でリセットボタン探してる。
山でさ、なんかよくわかんない長い木の棒売ってますよね?アレ本当大事。
足の2点だけでバランス取りながら山を下っていくの結構疲れるんですね。 もしかしたらあの棒があったら割りと疲れずに登り降りできたのかなぁ。
そして富士山をこれから登る予定がある初心者の方には覚えていただきたい。
富士山の下山ルートには、セーブポイントがない・・・。
かるーいトイレくらいならあるが、食べ物や飲み物が売ってるとこは無いです。 しかもトイレまでもかなり距離があるので、必然的に尿道を鍛えるハメになります。
すなわち、回復アイテムなどをゲットできない状態で山頂から5合目まで行かないといけません。 ちなみに帰り道は5~6時間くらいかかります。
もうここからは気力との戦いです。 絶対に降りきってみせる。俺たちは男だぜ。 イケてる男は、絶対に口に出してツライって言ったり、頑張っているぜ俺アピールをする人間ではない。 俺は自分にそう言い聞かせ、重い腰を上げ、再び歩き出した。
・・・。
ヘリコプター・・・来てくれ・・・・。
もう無理。ケイタ無理。
だって平成生まれだもん・・・。
っらぃょ・・・。
それでも僕はなんとしても今日中に降りなくては行けない。 なぜなら明日は自分のバンドのライブがあるから。
なぜライブ前日に富士山に登る計画を立ててしまったのか。
自分の愚かさに後悔するばかりである。
そしてついに恐れていたことが起きてしまった。
日が落ち始めた。
日が落ち始めると、僕達に2つのトラブルが襲ってきた。
1つ目は、気温。 歩いている時はそうでもないが、2分ほど立ち止まるだけで、すぐに体が冷え始める。 夏だからといってナメてはいたが、こうも寒いとは思わなかった。
ガチガチ震えるような寒さではないのですが、ずっとそこにいたら風邪引いちゃうような寒さ。
そして2つ目のトラブルは、暗さ。
日が沈み始めたことにより、目の前がどんどん暗くなっていきます。 もちろん外灯なんてものもないのです。
僕たちは日が沈む前に下山できるもんだと思っていたから、ヘッドライトや懐中電灯は持ってきていません。 でも忘れてはいけません。時は2016年。時代は進化しております。
僕達は光を照らすことができます。そう、iPhoneならね。
iPhoneのライト機能を使って、どんどん降りていきましょう。怖いもんなんてなんもないぜ。
先輩のiPhoneのライトで道を照らしながら歩いていくと事件が起きました。 目の前がフッと暗くなったのです。
充電が切れました。本当にありがとうございます。
マジで明かりがないと、自分の手も見えないくらい真っ暗なのです。
ですが僕もiPhoneを持っていたので、次は自分のiPhoneで道を照らしながら進みつづけることができました。これがあれば生き続けることができる。そう、iPhoneならね。
でも私のiPhone、充電が後15パーセントくらいしかありません。時間との勝負です。
そして、超気合で下り続けた結果。
着きました!! そう、5合目に着きましたーー!!
生きて帰ってこれたぞー!!
夜空を見上げると、満点の星空。 満点の星空って言葉がふさわしいほどに完全に満点の星空。いやー!満点の星空だわー!
僕達が5合目に着きそうになるくらいから、ヘッドライトをつけた方たちが富士山を登り始めていました。
そのヘッドライトが山のあちこちでキラキラ輝いていてキレイだった。
バスを待ってる間、無事降りきった達成感と温かいミルクティで心を満たしていたよ。
その後バスが来て、座席に着いて目を閉じた瞬間すぐに寝た。
バスが駐車場のとこに着いて、降りようとしたんだけどなかなか腰が上がらなかった。
あんなに疲れたのは初めてかもしれない。
ヨボヨボなヨーダみたいな顔になりながらもバスから降り、自分たちの車に乗ってやっと帰ってきたぞ感が出てきた。
時刻は20時。
もう温泉に入る気力はない。
ほうとうだけ食べて帰ることにした。
22時までやってるほうとう屋さんを見つけて、お店の中に入ってほうとうを注文。
ほうとうも食べ終わり、今度こそ帰ることにしました。
帰りの高速では僕が運転だったんですが、眠すぎて完全に落ちそうになったので、 一回サービスエリアに入って5分仮眠するつもりが、普通に寝落ちして1時間くらい寝てしまいました。そんくらい疲れたんやで。
ちなみにこの日、僕は1万円持って行ったんですが、余裕で足らなくてクレジットカードで5000円くらい使いました。 なんだかんだ結構使うもんだね。でも楽しかった。
無事その後はお家に着き、家の狭い狭い浴槽でシャワーを浴びて自分の体についた砂や泥を洗い流して、その後ソファーで泥のように眠ったのでした・・・。
次はどこに出かけようかな。
七輪でサンマでも焼きたいなぁ。
それではまた!